仕事を通じて人と知り合う機会はあります。ただし、「この職業に就けば恋人ができる」という仕事はなく、業種の名前や男女比だけで出会いやすさを判断することもできません。働く場所を選ぶときは、仕事内容、必要な経験・資格、待遇、生活との相性を優先して考えましょう。
この記事では、旧稿で取り上げた5分野を、仕事の接点と確認したい条件に分けて見直します。今の職場で気になる人がいる場合も、相手が安心して働けること、自分が無理なく仕事を続けられることを大切にして、関係を考えていけます。
職場で知り合った夫婦の割合は、自分の成婚確率ではない
旧稿には「約28%の夫婦が職場で出会った」ことから、「4人に1人が職場で結婚できる」と受け取れる説明がありました。しかし、夫婦の出会いのきっかけの構成と、そこで働く人全体が交際・結婚する確率は異なります。調査年、対象、結婚した時期も分けて見る必要があります。
国立社会保障・人口問題研究所の第16回出生動向基本調査は2021年6月に実施され、夫婦調査では妻が55歳未満の夫婦を対象としています。このような対象の定まった調査を、現在の特定の会社や業種で働く人の出会い率へ置き換えることはできません。
職場で顔を合わせる機会があることと、相手が恋人を求めていることも別です。仕事の協力や親切が、そのまま私的な好意を示しているとは判断しないようにしましょう。
旧掲載の5分野を、働き方から見直す
ここでは出会いの多い順に仕事を並べていません。同じ業種でも、配属、勤務形態、雇用条件によって、誰とどのくらい接するかは変わります。仕事を調べる場合は、厚生労働省の職業情報提供サイトjob tagや、実際の募集要項で仕事内容・就業条件を確認する方法があります。
1. 役所などの公務の仕事
窓口、事務、専門業務など、担当により関わる相手や働く時間は違います。異動や共同作業で知り合う機会があっても、交際相手に出会うことを目的とした制度ではありません。
公務員なら必ず休暇が取りやすい、男女が同数で採用される、非正規なら採用されやすい、という説明を一律には使えません。職種と募集区分、配属、勤務時間、転勤、任用期間などを確認します。安定した暮らしを望む場合も、職名の印象だけでなく、自分がその仕事を続けたいかを考えましょう。
2. メーカーの仕事
食品、自動車など業界が違うだけでなく、研究、製造、営業、管理部門など担当もさまざまです。同じ会社でも別拠点や別シフトなら、普段は接点が少ない場合があります。
旧稿にあった「年収1,000万円も珍しくない」「退職金2,000万円以上」「男性の多い工場なら女性がモテる」といった説明は、対象や根拠が確認できないため掲載していません。給与や交代勤務、勤務地、業務の内容は具体的な条件で判断します。職場の人数構成を、恋愛の競争率として扱う必要もありません。
3. 医療に関わる仕事
医師、看護師、薬剤師など職種によって役割や必要な資格・教育が違います。患者のケアを通じた連携は仕事のためのものであり、恋愛の接点を増やすために選ぶものではありません。
夜勤や当直、配置、休み方なども所属先によって確認が必要です。医療関係者全体の収入を高いとまとめたり、困難な仕事を一緒にすれば恋愛の絆が深まると保証したりはできません。患者や相談者の情報、業務で知った連絡先を、私的な接近に使うことも勧めません。
4. マスコミ・広告などの仕事
取材、制作、営業、広報、管理など、業務と関わる人の範囲は異なります。有名人を担当する可能性があっても、業務で会えることは私的な交際の機会と同じではありません。
雇用形態、制作期間中の時間、出張、休日、担当変更など、自分の生活に関係する条件を見て考えます。「大手なら必ず高収入」「飲み会や合コンが多い」と業界全体を一括りにして、出会いを理由に転職を勧めることはしていません。
5. 美容に関わる仕事
美容師、美容部員、スタイリストなどは、技術や接客、商品知識といった業務が関係します。職種・働き方によっては学習や資格、経験の準備も必要です。恋人候補と会うために働く場所、と考える前に、仕事として興味を持てるかを確かめましょう。
おしゃれな職場だから相手の人柄も分かる、自分も必ず美しくなれる、とは限りません。外見で人を評価することと、対等な関係を選ぶことは別です。顧客や同僚への親切も、業務上のやり取りとして尊重する必要があります。

仕事を通じて知り合う、よい面と難しさ
仕事中の接し方は見えても、私生活のすべては分からない
協力や困ったときの対応から、相手の一面を知る機会はあります。ただし、仕事が丁寧だから必ずよい恋人になる、結婚後に後悔しないという保証はありません。お金や家事、暮らし方、家族との関わりなど、仕事以外の希望は別に話す必要があります。
一緒に働く人に認められることが、仕事への意欲につながる場合もあるでしょう。一方で、恋愛をすれば昇給・昇進できるわけではありません。誰かに好かれるために業務を引き受けすぎたり、無理を続けたりしなくてもかまいません。
会う機会があることと、距離を縮めたいことは別
同じ職場でも、勤務場所やシフトが異なれば毎日会えるとは限りません。顔を合わせても、業務中に私的な会話をする時間があるとは限りません。
表情や勤務の変化を気にかけることと、行動を監視することも分けて考えます。退勤時刻を調べて待つ、業務上の予定表から私的な行動を探るといった接近は控えましょう。仕事で頼れる関係のままでも、そのつながりには意味があります。
関係が変わった後にも仕事は続く
交際の希望が一致しなかったり別れたりしても、業務で顔を合わせる場合があります。仕事の連絡を滞らせない、私的な話を周囲へ広めないなど、互いに働き続けるための配慮が必要です。
つらさを全て隠して演技しなければならない、というわけではありません。困っている場合は、本人同士だけで解決しようとせず、業務の調整や相談窓口を利用する方法もあります。恋愛関係を断ったことで、不利益を受けるのを当然と考える必要もありません。
「出会いの少ない職場」と自分を責めなくてよい
同性が多い、小規模、在宅勤務、忙しい、不定休など、職場で会う人や時間が限られる事情はあります。しかし、それだけで人生全体の出会いがなくなるわけではありません。
女性が多い職場では陰口や争いが起きる、男性が多ければ女性が好かれる、といった性別による決めつけには根拠がありません。同僚を恋愛の競争相手として見る必要もありません。
休みが合いにくい場合も、双方が話せる時間や予定を相談できるかを考えます。休日が不定期なら交際は続かない、と決めつけなくてかまいません。疲れているときは休養を優先でき、恋愛のために美容や服へ費用をかけることも義務ではありません。
仕事の負担が大きいなら、休み方や働く条件を見直す価値はあります。ただし、職場で恋人を見つけるためだけに転職を決めず、仕事内容、収入、生活、将来に求めることを分けて考えてみましょう。
職場で気になる人がいるときの5つの確認
1. 相手が断りやすい関係か
評価やシフト、指導、取引に影響する立場の違いがあると、相手は断りづらい場合があります。業務を理由に私的な時間を求めたり、返事を急がせたりしないことが前提です。拒否がはっきり聞けないことを、同意と受け取らないようにします。
厚生労働省のあかるい職場応援団の説明には、食事やデートへの執拗な誘いなどの例が示されています。ここで個別の言動の法的判断をするものではありませんが、断られたら誘い続けない、仕事上の扱いを変えないという確認に役立ちます。
2. 気配りを恋愛の対価にしていないか
挨拶や仕事へのお礼は、性別や好意に関係なく伝えられます。お茶を入れる、片付けをする、追加業務を引き受けるなどを、好きな人に選ばれるための役割にする必要はありません。
困っている人を手伝う場合も、業務の分担と自分の余力を考えます。相手が助けを受けたことから、食事や連絡先交換に応じるべきだと求めることもしないようにしましょう。
3. 私的な連絡と業務の情報を分けられるか
業務の連絡先、顧客情報、勤怠の情報を、私的な接近のために使うことは勧めません。仕事の連絡に返事が来ることと、私的なやり取りを望むことは別です。
互いに交流を希望する場合も、使う連絡手段や時間を相談できます。「仕事の話をしない方が恋愛になる」という決まりはないため、相手も話したい内容かを確かめましょう。職務上知った秘密を話題にすることも避けます。
4. 社内の催しへの参加を強いていないか
歓送迎会や社内の活動では、参加者が交流したいか、飲酒したいかは人によります。独身なら自由な時間が多い、参加しないと出会いを逃す、と決めつけないようにします。
自分も予定や体調に合わせて参加を判断できます。場が盛り上がっても、私生活を聞き出したり、二人きりになることを強く求めたりしないことが大切です。
5. 困ったときの相談先を知っているか
勤務先の就業規則やハラスメント相談窓口、交際に関する申告・利益相反のルールがあれば確認します。交際を全員へ公表することと、業務上必要な申告は同じではありません。相手の了解なく私生活を広めないようにします。
不安がある場合は、あかるい職場応援団の悩んでいる人向けの案内から、対応や相談先の情報を調べられます。相談を考えるときは、日時、場所、何があったか、業務への影響、希望する対応を整理する方法があります。うまく断れなかったことを、自分だけの責任にしなくてかまいません。
仕事と、関係を築く場所は別々にも選べる
職場に恋人候補がいなくても、今の仕事を続けながら趣味や知人の紹介、交流を目的とする場を調べる方法があります。どの方法も交際を保証するものではなく、無理に予定を増やす必要もありません。
「この仕事が好き」「自分の生活を守りたい」「交際を希望する人と話したい」といった希望を分けると、仕事と恋愛の両方を一度に解決しようとせずに考えられます。職場で恋愛をしない選択や、今は相手を探さない選択もできます。





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