人と関わることや外出が難しくても、「誰かと支え合いたい」「結婚して暮らしたい」と望むことはあります。その気持ちを持つために、先に就職や婚活を頑張って証明する必要はありません。
ただ、結婚すれば今の困りごとがすべてなくなる、相手が生活の支えを全部担ってくれる、と見込んで進めることはできません。結婚への希望、今の暮らしで困っていること、必要な支援、人との関わり方を分けて考えることから始めてみてください。
この記事は、ひきこもりの診断や治療、結婚できる人の判定をするものではありません。まずは自分の希望を整理し、無理なく相談する方法や、相手と暮らしを考えるときの確認点を紹介します。今は動かず考える、という選択も含まれます。
この記事の要点
- ひきこもりの状態や働いているかどうかで、人の価値を決めない。
- 外出や就職、結婚を一つの「成功」の条件にまとめない。
- 生活費・家事・体調・家族との関係を、できることと支えが必要なことに分ける。
- 出会いのサービスを急ぐ前に、公的な相談先や安心して関われる方法も選べる。
ひきこもりの状態を、自分で細かく判定する前に
厚生労働省の「ひきこもりVOICE STATION」では、さまざまな要因から社会的な参加を避け、原則6か月以上おおむね家庭にとどまる状態として説明し、他者と交流しない形の外出をする場合も含めています。
一度買い物に出た、人と会ったことがあるというだけで、「もう困っていない」「相談の対象ではない」と自分で結論を出さないでください。仕事や学校に行っているか、人と関わる機会がどれくらいあるか、何に困っているかは、別々に整理できます。
出典:厚生労働省「まず知ろう!ひきこもりNOW」。同ページで紹介されるガイドライン上の説明で、この記事から個人の状態や窓口の利用資格を判定するものではありません。
「ひきこもりなのか、ニートなのか」という二択に自分を当てはめてからでないと、暮らしの相談ができないわけではありません。呼び方を決めるより、「電話が負担」「家族以外と話す機会が少ない」「今後の生活費が心配」のように、具体的な困りごとをメモする方法があります。
結婚したい気持ちと、今の困りごとを分ける
結婚への希望には、一緒に暮らす人がほしい、安心して話せる関係がほしい、今の家を離れたい、経済的な心配を減らしたいなど、異なる気持ちが含まれるかもしれません。どれかを持つことを責めず、必要な支えを一つずつ考えてみましょう。
表が画面に収まらない場合は横にスクロールできます。キーボードでは表に移動し、左右キーを使います。
| 今の気持ちや心配の例 | 確かめたいこと | 結婚以外にも考えられる相談 |
|---|---|---|
| 安心して話せる人がほしい | どんな距離や連絡の頻度なら負担が少ないか | 居場所、交流、安心して話せる先 |
| 生活費が心配 | 現在の収入・支出・支援の見通し | 生活や就労などの相談 |
| 家族との生活がつらい | 何が困り、どんな支えが必要か | 住まいや家族関係の相談 |
| パートナーと暮らしたい | 日常で担えること、助けが必要なこと | 二人の生活と支援体制の相談 |
結婚の希望を持ちながら、生活の相談を先にしても構いません。逆に、すぐに結婚を考えられないまま、人とのつながりを探す選択もできます。どの相談が利用できるか、どんな方法で関われるかは、地域の窓口などに確認してください。
「男性なら稼げないと」「女性なら家事ができれば」と役割を決めるより、今の自分と相手の実情から考えます。結婚するために、できないことをできると約束したり、体調や負担を小さく見せたりする必要はありません。
今の暮らしを整理する5つの項目
1. 過ごしやすい時間と、負担が強い時間
日常の中で、落ち着ける時間、疲れやすいこと、予定があるとつらくなる場面を挙げてみます。生活のリズムをすぐ整える目標にするのではなく、今の状態を知るためのメモです。
相手と暮らすことを想像するときも、毎日同じ時間に起きて活動できる前提を置かず、休息や一人の時間がどれくらい必要かを話せます。体調についての具体的な困りごとは、必要に応じて医療機関や相談先へつないでください。
2. 現在の収入・支出と、頼っている支え
収入、貯蓄、家族などからの支え、家賃や食費といった支出を、わかる範囲で整理します。制度や支援を利用している場合は、生活の変化に伴う条件を担当窓口に確認する必要があります。
相手の収入だけですべて賄えると考える前に、現在の支えが今後も続くか、住まいが変わると何が増えるかを話せます。制度の受給資格や金額を、この記事の例だけから判断しないでください。
3. 家事でできることと、助けが必要なこと
料理、買い物、掃除、連絡や手続きなど、どの作業なら負担が少ないかを考えます。家にいる時間が長いからすべての家事をできるはず、と自分や相手に期待しすぎないようにしましょう。
できる日と難しい日がある場合は、その違いも大切な情報です。「いつも全部やる」と約束するより、難しい日の代わりの方法まで相談できると、生活の計画が具体的になります。
4. 家族や周囲と共有したい範囲
自分の状態を誰にどこまで話したいかを考えておきます。恋人に伝えたことが、そのまま相手の家族全員へ共有されると負担になる場合もあるでしょう。
「この話は今は二人の間にとどめたい」「説明するときは先に相談してほしい」など、情報を扱う希望も伝えられます。すべてを説明するか、隠し通すかという二択にせず、現在の暮らしで相談が必要なことと詳しい過去を分けてみてください。
5. 恋人以外に相談できる先
相手に理解してほしいことがあっても、恋人が相談・お金・連絡・体調の支えをすべて担う計画にしないことが大切です。自分も相手も、困ったときに頼れる先を考えられます。
いま相談先がなくても、「どこなら、何について話せそうか」を探すところからで構いません。地域の相談窓口や居場所など、婚活とは違う目的の支えも選択肢になります。
最初の一歩は、外出や婚活の申し込みでなくてもよい

今の自分にとって可能な一歩は何かを、本人が選べることを大切にしてください。身だしなみを変える、外へ出る、アルバイトに応募することを、この記事から回復の手順として指示するものではありません。
情報を見るだけで終えても構わない
地域の相談先のページを開く、利用方法をメモする、聞きたいことを一つ書く。すぐに問い合わせず、そこで終えてもよいです。連絡をしたい気持ちがあれば、電話以外の方法があるか、本人や家族のどちらが相談できるかなどを確認してみてください。
厚生労働省の「ひきこもりVOICE STATION」には、地域別の相談窓口が掲載されています。支援内容や連絡方法、利用条件は各窓口で確認してください。結婚相手を紹介するための窓口としてではなく、生活や人との関わりの相談先を探す案内です。
相談先:厚生労働省「全国の相談窓口はこちら」。合う窓口がわからない場合には、今困っていることを伝え、相談できる内容を尋ねる方法もあります。
自分が望む関わり方を、短い言葉で用意する
連絡する前に、長い経緯をすべて文章にする必要はありません。何が難しいか、どんな方法なら話しやすいかを短く書いてみることもできます。
会話の例
「人と話すことや外出が負担で、今後の生活について相談したいです。電話や来所が難しい場合に、利用できる相談方法があるか教えてほしいです」
相手が恋人や知人の場合も、「今日は短い時間なら話せる」「返事に時間がかかることがある」など、今できる範囲を伝えて構いません。いつも同じペースで関わる約束をする必要はありません。
働くことも、本人の希望と状況から相談する
仕事をしてみたいという希望があるなら、どんな負担が気になるか、どのくらいの時間を考えているかを相談の材料にできます。「まず働けないと結婚できない」と一律に順番を決める必要はありません。
在宅なら必ずできる、短時間なら負担がないという保証もありません。仕事の内容、連絡の頻度、勤務時間などを、自分の状況に照らして確認します。結婚のために無理な就労計画を示すより、必要な支えも含めて相談してください。
恋人がいる場合に話しておきたいこと
現在の状況を話すときは、自分のすべてを一度に説明して信頼を得ようとするより、共同生活で何が必要になるかを一緒に考える方法があります。「今の状態」「できること」「難しいこと」「相談したいこと」を分けると、話題を選びやすくなります。
会話の例
「一緒に暮らしたい気持ちはあるけれど、今は人と会う予定が続くと負担が大きい。生活費や家事で何を分担できそうか、支援をどう使えるかも含めて相談したい。すぐに全部できるとは約束できない」
相手の家族に説明する場合も、誰が何を伝えるか、同席するか、話したくない内容は何かを二人で相談できます。親族に偏見のある言葉を向けられても、耐えることを結婚の条件にしないでください。相手がその場でどのように支え、情報を扱うかも確認できます。
子どもを望むかどうかも、結婚と自動的に結びつけず話せます。将来の役割を性別で決めたり、今の状態を理由に子どもの将来を予測したりせず、現実の支えや生活の負担を相談していきましょう。
出会いを探したくなったときの確認点
恋人がいない場合、すぐに結婚目的の場へ参加しなくても構いません。趣味の交流、知人を通したつながり、オンラインでのやり取りなど、自分がどんな関係を持ちたいかから考えられます。婚活を選ばない時期があってもよいです。
表が画面に収まらない場合は横にスクロールできます。キーボードでは表に移動し、左右キーを使います。
| 関わり方の例 | 先に確かめたいこと | 休むための選択 |
|---|---|---|
| オンラインの交流 | 返事や参加の頻度、公開される情報 | 通知を減らす、参加しない日を選ぶ |
| 知人の紹介 | 伝えてよい事情、会う時間や場所 | 紹介を見送る、短い時間にする |
| 有料の婚活サービス | 自分の状況での利用条件、料金、支援範囲 | 休会/解約条件を確認する |
オンラインで話せることと、共同生活の準備がオンラインだけですべて整うことは別です。サービスが自分に何をしてくれるのかは、公式の条件で確かめてください。相談や連絡をすべて代わりに担ってくれる、結婚できるなどの保証を前提にしないようにしましょう。
やり取りで疲れたら、頻度を落とす、やめる、しばらく休むことも選べます。信頼ができる前から住所や資産の詳細を共有するなど、希望する関係のために無理な情報開示や契約を急ぐ必要はありません。
結婚のために自分を変えるより、続けられる生活を考える
今の状態から、いつ何ができるようになるかをこの記事で予測することはできません。結婚したいという希望を大切にしながら、今必要な支えや、無理の少ない関わり方を考えていくことはできます。
今日の一歩を選ぶなら、生活で困っていることを一つ書く、相談先の連絡方法だけを見る、相手に今できる範囲を伝えるなどでもよいです。今は何も決めないなら、気になったページを手元に残しておくことも選べます。
自分が何を望み、何に支えが必要なのかを、誰かに評価されるための答えにしないでください。結婚を選ぶ場合も選ばない場合も、自分の暮らしを一緒に考えられる相手や相談先を、無理のない形で探していきましょう。





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