借金があるという理由だけで、結婚する・諦めるという結論を出す必要はありません。ただ、金額や返済状況が分からないまま結婚の予定を進めるより、誰の契約で、いくら残り、生活費と両立できるのかを先に確かめたいところです。
相手を支えたい気持ちと、自分の生活を守りたい気持ちは、両方持っていてよいものです。あなたが借り直したり、保証人になったりすることを、気持ちの証明にする必要はありません。
この記事の要点
- 借りた目的だけで安全・危険を決めず、契約と返済の事実を確かめる。
- 法律上の支払義務と、二人の家計への影響を分けて考える。
- 不明点や返済の難しさがあるなら、結婚の判断を保留して専門窓口へ相談する方法がある。
まずは、借金の全体像を一緒に確認する

「毎月返しているから大丈夫」という説明だけでは、残りの負担は分かりません。相手の同意を得て、契約書・利用明細・返済予定表などを見ながら、次の項目を整理してみましょう。無断で口座や信用情報を調べる必要はありません。
表が画面に収まらない場合は横にスクロールできます。キーボードでは表に移動し、左右キーを使います。
| 確認する項目 | 見たい資料・事実 | 分からないときの次の一手 |
|---|---|---|
| 借入先・契約者・保証人 | 誰が借り、誰が保証しているか | 契約内容を本人から借入先へ確認する |
| 残高・金利・毎月の返済額 | 借入先ごとの直近の明細 | 口頭の総額だけで済ませず資料をそろえる |
| 延滞・追加の借入 | 支払いの遅れや、返済のための借入の有無 | 返済が難しければ相談窓口へつなぐ |
| 完済までの予定 | 無理のない収入で続けられる計画か | 収入増や臨時収入だけを前提にしない |
| 家族への支援・別の契約 | 親のためのローンや継続的な仕送り | 当人の契約と家族内の約束を分ける |
この表は、話し合いのための整理項目です。「何円以下なら結婚して安全」という基準ではありません。資料をそろえること自体が難しいなら、判断に必要な情報がまだ足りない状態として扱ってください。
借金があることで、暮らしの何が変わりそうか
毎月の生活と、将来の予定に使えるお金を分ける
返済が続いていても、生活費や引っ越し費用が足りるかは別に確かめる必要があります。結婚式を開けるかだけでなく、二人がどこに住み、どんな働き方を続け、急な支出にどう備えるかまで話題にしてみましょう。
たとえば、毎月の返済がある間は住まいの予算を見直す、先に必要な備えを作ってから大きな買い物を考える、といった選択肢があります。希望を全部諦めるか、予定を変えずに進めるかの二択にせず、いつ何を見直すのかを具体化します。
金額が分からないことと、返済が難しいことを区別する
資料がまだそろっていない段階では、生活への影響も計算できません。「愛情があるなら信じてほしい」と言われても、将来の契約や生活費に関わる確認まで省く必要はありません。
資料を一緒に見ることに抵抗があるなら、何を共有したくないのか、どこまでなら確認できるのかを聞く方法があります。それでも判断材料がそろわなければ、入籍や共同契約の予定を止め、自分が引き受けられる範囲を考えます。相手の人格を決めつけることと、情報が不足したまま進めないことは別です。
結婚したら、自分にも返済義務が生じる?
相手が個人で負った借金について、結婚しただけで、もう一方が当然にすべての返済義務を負うわけではありません。一方で、自分が保証人になるなど、別の契約上の責任を負う場合は話が変わります。
民法446条は保証人の責任を定め、761条は夫婦の日常の家事に関する債務について連帯責任を定めています。したがって、「夫婦なら必ず半分払う」「自分の名義でなければ一切関係ない」とも言い切れません。
出典:e-Gov法令検索「民法」(446条・761条)。個別の契約や借入の事情により判断が異なります。
日常家事に当たる範囲について、兵庫県弁護士会は夫婦の財政状態などを踏まえて個別に判断すると説明しています。実際に請求されている、保証の署名を求められているといった場合は、自分で責任の有無を決めず、契約資料を持って弁護士などへ確認してください。
出典:兵庫県弁護士会「妻の借金、夫に返済義務?」(2009年6月16日掲載)。一般的な考え方の参考であり、この事例と同じ結論になると保証するものではありません。
契約を確認するときの注意
「親が払う予定だから、本人の借金ではない」とは決めつけないでください。契約者や保証人が誰か、支払いが止まったら誰に請求されるのかを資料で確認しましょう。判断がつかない契約は、署名や立て替えをする前に相談できます。
借りた目的だけで、結婚への影響は決められない
奨学金、車のローン、医療費のための借入でも、毎月の返済が重ければ家計に影響します。反対に、借金の名前だけから、その人の性格や二人の将来を断定することもできません。
確かめたいのは、今も借入が増えているのか、返済の事実を共有できるのか、無理な負担をあなたへ求めていないかという点です。用途の説明と、現在の返済状況を分けて見てください。
ギャンブルなどを理由に借入を繰り返している場合も、あなた一人で行動を変えようと抱え込まず、相談先を使う方法があります。記事だけで依存症と診断することはできません。
奨学金・医療費など、必要性があった借入
学費や治療のために借りたという事情は、その人がどのような状況にいたかを知る材料になります。ただし、必要性があった借入でも、これからの家計と両立できるかは資料で確かめたいところです。
「奨学金だから問題ない」とまとめず、残高、毎月の支払額、完済までの見通しを整理します。過去の選択を責めるためではなく、これからの生活を一緒に考えるための確認です。
車・買い物など、現在の生活に関わる借入
車が必要な生活なのか、どんな買い物にお金を使っているのかも聞いてみましょう。同じ金額でも、収入、住む地域、他の支出によって受け止め方は変わります。
気になるのは「その買い物が好きか嫌いか」だけではなく、現在の支払いを把握できているか、新しい買い物を続けても生活が成り立つと考えているかです。限度額など一つの数字だけでなく、実際に毎月いくら払っているのかを明細で確認します。
親や家族のために組んだローン・継続的な支援
家族のために借りた場合も、借りた目的と契約上の立場を分けます。「親が払っているから本人の負担はない」という説明だけで判断せず、契約者・保証人・実際の支払者を確認してください。
今の支払いに加えて、これからも家族を支援したい希望があるなら、二人の生活費との関係を話し合います。家族の事情をすべて聞き出すより、結婚後の家計に関わる負担や、支援を見直すときの考え方を確認することが大切です。
借入が繰り返されている場合
「今回だけ」「次の収入で返せる」という説明が続くときは、すでにある返済と、新たに増える借入を分けて整理します。返すための借入が続くなら、あなたが新たに借りて埋めるより先に、本人が相談窓口へ状況を伝える方法があります。
あなたが相手の行動を管理し続けることを、結婚の条件として一人で背負う必要はありません。協力できることと、引き受けない契約・送金を言葉にしておきましょう。
「返せるか」と「二人で生活できるか」を別々に計算する

毎月の手取り収入から、住居費・食費・光熱費などの生活費と返済額を差し引いてみましょう。年払いの費用、医療費や家電の買い替えに備えるお金も考慮します。結婚式だけでなく、結婚後の暮らしを見積もるための作業です。
たとえば、世帯の手取り40万円、生活費28万円、返済6万円と仮定すれば、残りは6万円です。ここから年払いの費用や備えを出せるかを考えます。これは計算の例で、標準的な生活費や「結婚してよい収入」の基準ではありません。
会話の例
「結婚を考えているからこそ、毎月いくら残るのかを一緒に見たい。私が肩代わりする前提ではなく、それぞれの返済と二人の生活費を分けて考えたい」
二人の収入を合わせないと成り立たない計画なら、どちらかの収入が減ったときも確認します。転職の成功や、まだ決まっていない副業収入だけで帳尻を合わせないようにしてください。
月ごとの収支と、予定している大きな支出を並べる
毎月の家計と、引っ越し・家電・帰省などの不定期の支出は、分けて書くと確認しやすくなります。次の表は、二人で書き込む項目の例です。数字が分からない欄をゼロにせず、誰が確認するかを決めてください。
表が画面に収まらない場合は横にスクロールできます。キーボードでは表に移動し、左右キーを使います。
| 家計の項目 | 今、確認したい内容 |
|---|---|
| 毎月の収入 | 実際の手取り、働き方が変わった場合の見通し |
| 生活費 | 家賃、食費、光熱費など、二人で負担するもの |
| それぞれの返済 | 契約ごとの支払額、完済予定、支払いの遅れ |
| 不定期の費用・備え | 更新料、家電、医療費などに残せるお金 |
| 家族への支援 | 金額、続ける予定、見直す条件 |
収入を増やす方法を考える場合も、まだ決まっていない転職や副業の収入は、現在の家計とは別に扱います。あなたの収入や貯金を全て返済に回す前提にせず、自分の生活に必要なお金も残せるかを確認しましょう。
お金の管理は、二人が確認できる方法を決める
「自分に全部任せてくれるか」だけで誠実さを判定するのではなく、残高や支払いをどのように共有するかを相談します。たとえば、月に一度明細を確認し、それぞれの返済と共同の生活費を分けて記録する方法があります。
一方が管理を担当するとしても、もう一方が内容を知らないままにしないことがポイントです。誰が何を払うか、予定どおりに払えないと分かったらいつ伝えるかを決めます。確認の約束が守られないときは、理由と今後の対応を話し合い、予定を進めるかも見直せます。
判断に必要な情報がそろうまで、予定を止めてもよい
表が画面に収まらない場合は横にスクロールできます。キーボードでは表に移動し、左右キーを使います。
| 今の状況 | 選べる進め方 | 次に確認すること |
|---|---|---|
| 資料がそろい、生活費も含めて話し合える | 結婚を検討しながら返済状況を確認する | 分担、予備費、予定を見直す条件 |
| 残高や契約が不明、資料がまだない | 入籍・共同契約などを保留する | 誰が何の資料をいつ確認するか |
| 返すために借りる、支払いが遅れる | 結婚の結論より先に借金の相談をする | 無理のない返済や整理の方法 |
| 名義貸しや立て替えを強く求められる | 自分の契約や送金を止め、別に相談する | 自分が責任を負う範囲、生活の守り方 |
これは相手に合否をつける表ではありません。結婚を進める、待つ、関係そのものを見直すという選択を、確認できた事実と自分が引き受けられる範囲から考えるためのものです。
返済や契約の相談をするときに整理しておくこと
相談先では、借りた本人の問題なのか、あなた自身が請求や署名で困っているのかを分けて伝えます。借入先、契約資料、分かっている残高や返済の状況をそろえ、資料がない場合はそのことも伝えてください。全てを調べ終えるまで相談できないという意味ではありません。
債務整理についても、方法によって扱いや条件が異なるため、「任意整理なら不利益が少ない」などと決めつけず、今の状況でどんな選択肢があるかを確認します。あなたが代わりに方法を決めたり、相手の返済を約束したりする必要はありません。
亡くなった家族の借金に関する相談なら、生前に本人が借りたお金の返済とは分けて伝えます。相続放棄には期間や申述の手続きがあるため、財産や借金の扱いを自己判断で進めず、裁判所の案内や専門家に確認してください。
出典:裁判所「相続の放棄の申述」。相続放棄の可否や個々の財産・債務の扱いを、この記事で判断するものではありません。
返済が難しいときの相談先
金融庁は、財務局や自治体などの多重債務相談窓口を案内しています。返済のための借入が続く場合や、残高を把握できない場合は、本人から相談する方法があります。あなた自身が請求や契約で困っている場合は、自分の問題として相談してください。
相談先:金融庁「多重債務者対策・貸金業法等について」。窓口ごとの対象・受付方法はリンク先で確認してください。
債務整理を検討するときは、法テラスの借金に関する案内も参考になります。手続きごとの効果や不利益は個別に確かめ、この記事だけで方法を決めないでください。
相手を好きだという気持ちを、返済や署名を引き受ける理由にしなくて構いません。今日の一歩は「結婚するか」の答えを出すことではなく、分からない契約や金額を一つ確認することでもよいのです。





コメントを残す